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理事長挨拶

長い人生の短い子ども時代子ども時代の体験を豊かにしたい

犬との関わりが大切な理由

私は、子どものころから犬が大好きです。寂しいときは、近所にいた秋田犬によく話かけていました。私が子どもの頃をふり返ると、犬と関わることでよかったポイントが3つありました。

① 自分とは異なる生き物である犬の行動を理解しようとすることで、他社への共感力やコミュニケーション能力を磨くことができました。
② 犬をケアすることをとおして、自分より弱いものを思いやる心を育むことができました。
③ 好きな動物の存在を動機づけとして、苦手だったこと、関心がなかったことにも前向きに取り組むきっかけが得られました。

子どもの暴力行為

犬との絆から得られるこのような恩恵を必要としている子どもは、今の日本には大勢いると思います。 文部科学省の発表によると、平成30年度、小学校、中学校、高等学校における暴力行為の発生件数は、約7万3千件。特に、小学校においては、在籍児童数が減少しているにもかかわらず増加が続いており、数字に現れるように深刻な状況には危機感を抱かずにいられません。

子どもの暴力が増えている背景として、「感情がうまく制御できない」「コミュニケーション能力が足りない」と言った問題が指摘されています。犬たちとの関わりの中には、これらの問題への解決のヒントが、たくさん見いだせる気がします。

犬と関わることで

大人が言うことには素直に聞けなくても、犬とは心を通じ合わせたいと思う子どもたちはたくさんいます。問題児と言われながら、自分の愛する犬のために怒りを抑える努力をしたり、相手を理解しようとがんばる子どもたちを、「犬とふれあえるカフェ かたのだ」で何人も見てきました。

また、少子化時代の子どもたちの生活の中には、自分以外の他者をケアする機会はなかなかありませんが、犬たちが相手なら、自分がケアする側に立つことができます。両親から十分な愛情を受けられずに育った子どもたちにとっては、自分の中にもともと備わっているはずの、弱いものへの思いやりの気持ちに気づくきっかけともなるでしょう。

かたのだ子ども食堂OPEN

新学期の始まりなど、環境の変化がある時期には、学校になじめない子、困りごとがあっても誰かに相談できない子が多くなります。

全世帯の6割が核家族である今、「孤立」「孤食」は子どもを含めたあらゆる世代に広がっています。特に長期休み期間中には、親は働いていることから、一緒に過ごす時間が少なく、ひとりでごはんを食べる子どもたちも多くいます。

こども食堂には貧困家庭の子どもだけが食事する場所との誤解がありますが、かたのだ子ども食堂は、交流拠点としても機能しています。「こども食堂=貧困対策」というイメージを無くし、子どもたちが犬とのふれあいを介して、話すことができない犬が教えてくれる大切なこと、犬のゆるがない愛情が生きる勇気をくれ、他人へのいたわり、思いやりを通して命の大切さを学び。「子どもたちに、栄養たっぷりの温かい食事を食べてもらいたい」「何か子どものためにできることをしたい」「地域住民と世代を超えて交流できる場をつくりたい」と思い2019年7月にオープンしました。

子ども食堂のスタイルは様々

こども食堂は「貧困家庭の子どもを集めて、ごはんを食べさせるところ」だけだとしたら、子ども食堂の究極の目的はゼロにすることです。しかし、近年地域の関係が希薄になる中、コンビニにご飯を一人で買いに来るこどもや孤食・個食を送る人が増え、かつて地域ぐるみで目をかけながら子育てしていたように、こども達が安心して心を開く居場所を作りたいと運営をしている所もあります。

一口に「こども食堂」といっても、どの こども食堂もとても個性的であり、また、食事を提供する以外に色々な役割を担っています。例えば、多くの こども食堂では、食べ物だけではなく、「こどもの居場所」も提供しています。こどもたちは食事の前後に、勉強したり、遊んだりすることができるのです。「居場所をつくる」ことを重視した取り組みでは、「こども食堂」という言葉を使わず、年齢、国籍を問わず、さまざまな人が来やすいように工夫しているところもあります。また親が一緒に参加することで、子育ての悩みを聞いてもらう場にもなり得ます。現在、こども食堂は全国に3,700か所あります。「3,700か所あれば、3,700通りのやり方があっていい」と思います。

体と心に栄養を

かたのだ子ども食堂では、子どもだけでなく、地域とつながりを感じたい親御さん、兄弟がいなくて、子どもと関わりたい大学生や地域の方、孤独を感じている高齢者など、たくさんの人々に利用してもらうことで、家庭でも学校でもない地域に住む人々が集まる顔の見える『第三の居場所』交流拠点を作ることを目的としています。

・家庭の経済状態に関係なく、親でも先生でもない大人たちと出会う場所。
・大人たちや犬を通じて、多様な価値観を身につけ、人生の選択肢を広げていく場所。
・反対に子どもたちの無邪気さに癒される場所。
・国籍や性別・年齢を超えてみんなで助け合いが出来る場所にしていきます。

地域で子どもたちを見守る社会をめざして

豊かな時代と言われるこの時代ですが、生きづらさを感じている子どもたちがたくさんいることを日々感じております。私たちが小さかった頃は、地域で助け合いながら子どもを見守り、育てていたように記憶しています。確かに日本は、経済的に豊かになったかもしれません。果たして心まで豊かになったのでしょうか?

私たちは経済的に恵まれていたら豊かだとは思いません。反対に経済的に厳しいから豊かでないというわけでもありません。地域のコミュニティが形成され、子どもたちが未来に希望がもてるような地域になることを願うばかりです。微力ではありますが地域コミュニティを形成し、子育てしやすく、そして子どもたちが未来に希望がもてる地域になるよう活動してまいります。

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