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かたのだこども食堂は地域と共に

現代の子育ち・子育て環境、親子を取り巻く現状について

現在、社会の変化は急速にすすみ、私たちは日々数多くの問題に直面しながら生活しています。 少子高齢化・核家族化が進行し、地域社会のつながりも弱くなり、子育て中の親は、子育てに関する知識や技術が不十分なまま子育てをしなければならない環境です。

その結果、子どもや親子関係に関する問題、たとえば子どもの犯罪、いじめや不登校、ひきこもり、自殺そして児童虐待などが深刻な社会問題となっています。ここでは、まず初めに親子を取り巻く急激な変化の中で、いま問題となる点について社会の変化、家庭、地域、高齢者のそれぞれの側面からまとめてみました。

1 社会の変化について

今日、家庭を取り巻く社会の環境は、親にとっても、こどもにとっても非常に多くの問題点をかかえています。とりわけ、現代社会のなかで、今日まで指摘されている問題点のひとつである「高学歴志向」の風潮は、その中でも大きな部分を占めているようにも思われます。

親自身は、日々の仕事に追われ、わが子へ向ける目や会話は、高学歴を期待する塾通いや学業について大半を占め、心にゆとりのある会話や生活よりも、学業優先で生活しなければならない現状です。

このため、こどもは自然と追いつめられて、心にゆとりをもって友だちと接する機会が減り、また学業以外の自然体験等も不足するなど、このことが様々な問題行動を引き起こす可能性がある要因となっています。

さらに、物があふれ豊かになった現代社会の中で生活する子どもたちは、昭和を生きてきた時代とは違う消費社会の中にいて、常に何でも手に入り、情報も容易に入手できます。そのため、物を大切にする心、我慢する心が育たなかったり、TVゲーム等の影響により、実体験と疑似体験の混乱が生じるなど、心身への影響が心配されています。

2 家庭について

核家族化や離婚の増大により、親自身、子どもへのしつけや教育に自信がもてず、過保護、過干渉、あるいは放任の養育状態に陥り、悩みを抱えつつも気軽に相談する人も場所もなく、孤立する親が増えつつあります

更に、その悩みの蓄積から、子育てから逃避する母親や、子育てに参加しない父親や、離婚等により、仕事と子育てを一人で担っている方が増加しています

また、日常生活ではコンビニの食品や手ごろで便利な冷凍食品、インスタント食品等の普及により、家庭内での食生活が変化し、手作りの味、家庭の味が薄れ、子どもの心身の発育に少なからず影響を及ぼしていると指摘されています。

一方、子どもにとっての家庭の現状は、共働きの親と個室化した家庭環境の中で、家族との日常生活の会話も少なくなり、疎外感や孤立感を感じ、家族の一員としての自覚や家族に対する魅力を感じなくなってきています。

また、核家族化の進展は、祖父母の介護や死に直面することもほとんどなく、家族としての共同体験や生活体験の中から生き方を学んだり、「老い」「命の尊さ」を実感する機会が急減しています。

3 地域について

本来、地域の教育力は大人と子どもが共に地域の中で生活していることから生まれてくるものです。

地域や社会全体で親子の学びや育ちを支える環境が崩れ、今日では個人主義的な生活の中で相互扶助機能が低下してきています。悪いことに対しても見て見ぬふりをしてしまうなど、健やかな成長を支える地域の大人としての役目が果たせていません。

地域の大人の現状を見ても、大人同士や子どもと大人の人間関係が希薄化

また、隣近所を知らない現状があります。従って、地域において孤立したり、父、母親ひとりだけの「弧(こ)」育てになっています。

最近の子どもの生活を見ると、よく体を動かし、よく食べ、よく眠るという成長期の子どもにとって当たり前で必要不可欠な子どもの基本的生活習慣が乱れています。TVゲームの普及や、遊び場の減少によって、地域の子供たちが群れて遊ぶ場が少なくなってきました

また、異年齢間の子どもの交流機会の減少から、仲間の連帯感や先輩後輩の礼儀など、子ども同士が切磋琢磨して育ち合う場面も減少しています。

4 高齢者について

家族と離れて暮らす高齢者が増え、孤食による調理意欲の低下、それに伴う食事摂取量の低下、栄養バランスの乱れ、室内に引きこもることによる活動意欲や活動量の低下などが懸念されています

さらに、新たなコミュニティに加わることが難しく、人との触れ合いが減り、判断力や認知力の低下も見受けられています。

これらは高齢者にとって要介護状態につながる問題で、全国でも大きな課題になっています。高齢者が生き生きと地域で生活し、栄養バランスの良い食事を楽しく食べ、社会参加、健康増進をはかれるようにする対策が求められています

かたのだ子ども食堂、心おどる地域社会づくりに向けて

1 ふれ合い体験を重視。子どもの「あそび」に本気に取り組むこと

〈現状〉
都市化の進展、生活様式の変化等により、子どもたちは自然や動物とのふれあい体験や運動する機会の不足、また塾通い、TVゲーム等による交遊関係の不足から、様々な社会性や情操の発達阻害をきたしております

そのため、自然や動物とのふれあい体験や、犬の誕生~老い~死(命の尊さ)を感じる等、より多くの感動体験の機会が求められています。

また、子どもたちの「あそび」を考えるうえで大切な要素として、「仲間」「空間」「時間」の三つの「間」があげられます。仲間は、みんなで遊び、様々な体験をしながら、人にもまれ、自我をぶつけ合いながら人間関係や社会性など生き方を学びます。

空間は、子どもたちの出会いや遊びが繰り広げられる場であり、今、その環境や機会づくりが必要です。時間は、日々の生活の中からあそびを生み出すゆとりのことであり、情報過多と多忙な日々の中、自らが選択しつつ時間的なゆとりのつくり方が求められます。

〈かたのだ子ども食堂の施策〉
・地域が共に取り組む継続的な体験活動の企画
・わが家のよき伝統(承)活動等についての情報発信
・自然の中での遊び場の提供
・犬と散歩もできる遊び場の提供
・NPO法人や各種団体の紹介
・ボランティア活動の促進
・遊びや生き方が学べる「レクリエイションの広場」の開設

2 リーダー(特に青年層)の養成を図ること

〈現状〉
子どもの発達段階から見ると、青少年期において一生付き合える友達を得ることができるともいわれ、地域に根ざした青少年活動の支援とリーダーの発掘、養成は重要です。

先の災害時時の青年たちのエネルギッシュな活躍等を見ても、いま青年層の出番を考えるときでもあります。そのためには、親や大人が青少年に積極的に働きかけ、様々な活動を支援するなど、育成者のネットワークづくりが求められています。

〈かたのだ子ども食堂の施策〉
・青年団および青少年団体組織の活性化、ネットワーク化の再構築
・心身に悩みを持つ青年たちの交流事業の開発
・地域の催しへ、地域に居住する教育関係者等、多様な人材の活用を推進
・近隣の大学と連携の体験活動の促進
・地域と企業との連携(見学会の企画等)

3 社会倫理の確立を図ること

〈現状〉
高度経済成長期から今日まで、物質的には豊かになってきましたが、反面、精神的部分が問題視されている中、心の教育の必要性として、いろいろな理由が考えられます。

実際、心の教育の必要性として、子どもたち一人一人が『生きる力』の礎とも言うべき、生命を尊重する心、他者への『思いやり』『社会性』『倫理観や正義感』美しいものや自然に感動する心等の豊かな人間性の育成を目指し、心の教育の充実を図っていくことが極めて重要な課題です。

幼児期からの心の教育の在り方について、社会環境が変化する中で、暴力行為やいじめなどの生徒指導上の課題が発生しており、子どもたちの生活習慣や規範意識、豊かな人間性を育むために、あらためて「心の教育」の推進が求められています。

社会の基本的ルールやマナーが守れない子ども、良好な人間関係を築くことができない子ども、他者への思いやりに欠け、我慢のできない子どもが増加し、青少年による凶悪犯罪等の続発が社会問題となっています。

これらの問題の背景として、少子化や情報化の進展、物質的な豊かさと都市化の進展、個人主義、平等主義のはき違えた認識による弊害といった社会環境の変化があり、「家庭での教育力の低下」、「学校での教育力の低下」、「地域の教育力の低下」をもたらしている心の教育を再構築することが求められます。

〈かたのだ子ども食堂の施策〉
・親子の心の教育の充実のための研修
・大人のモラルの再構築
・いろんな世代と交流の深化
・子どもが社会や職場で疑似体験できるイベントの開催
・自然と動物と共生する地域づくり

4 地域の連帯を強めること

〈現状〉
家庭を支えるものに「地域」があります。日ごろからの人間的なつながりや、世代間の精神的な結びつき、地域の結束を強めることが、日常の身のまわりに発生する問題解決につながることはいうまでもありません。

そのためには、地域の各種社会教育関係団体が、新しい時代の流れに沿った組織や運営の在り方を考えることや、地域の教育関係者をはじめ、学識経験者、経験豊富な人や子育てで悩んだ親など、多様な人材を発掘・活用して、身近な地域の高齢者の豊かな人生経験にふれ、地域行事の継承や地域の文化伝承、活性化が望まれます。

〈かたのだ子ども食堂の施策〉
・身近な地域の気軽な子育てふれあい相談員の発掘、ネットワークの組織化
・広域的な企画・行動をするリーダーの養成
・地域の婦人団体や子ども会等の活性化と組織的な取り組み、またその活動の場づくり
・地域行事の企画段階からの子どもたちを参画
・高齢者との交流と連携を支える地域ネットワークづくり
・高齢者の人材活用を図り、相互理解を深める
・三世代家族の交流事業(ボランティア活動、介護体験活動等)の企画
・地域の人間的なつながりをつくる活動や地域行事参画への環境づくり

5 各種情報、資料提供の充実を図ること

〈現状〉
経験不足の若い親たちは、各種の情報についての入手方法やそのネットワーク化を期待しながらも、その窓口を見つけられないままに過ごしていることが多くあります。
窓口を紹介できる相談体制の整備や、だれもが容易に相談できる場の構築が望まれます。

〈かたのだ子ども食堂の施策〉
・家庭教育、福祉情報の提供できる場の開設
・気軽に相談できる様に幅広く窓口を設ける

おわりに

かたのだ子ども食堂を行うことで、これまで挨拶をすることもなくすれ違っていたかもしれない高齢者と親子が、町のなかで挨拶をしたり立ち話をしたりすることが生まれてきています。

孤食や人との触れ合いの不足は高齢者にとって共通した健康課題があります。このことにより、地域の方が新しくコミュニティを感じることができ、疎外感や引きこもりを防ぐことになります。

今後は、全国のドッグカフェやペットショップを拠点として、動物とのふれあい、孤食、食育、交流できる場などへの取組を支え、社会環境を整えていくとともに、「こども食堂=貧困対策」というイメージを無くし、世代を超えた交流できる場をつくることで、多様な価値観を身につけ、人生の選択肢を広げ、「学歴・障害の有無・国籍・年齢などの垣根を越えて」ひととひととが出会え、子ども達が安心して心を開く居場所を作っていきます。

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