交配

セラピードッグの繁殖とは、単に子犬を作ることが目的ではありません。健康で性格のよい子犬を産ませ、犬質を向上させるのが目的です。
その犬種の理想とする犬に近い犬を産ませるためには、犬の長所と短所について考えます。子犬は、たとえ両親犬が優れた犬であっても、その長所だけをもって産まれてくるわけではありません。短所も受け継ぐ可能性もおおいにあるのです。
その優劣をよく考えて、かなりの年月と頭数、根気をもって研究しながら計画繁殖を繰り返します。

誕生

産まれた時から、いろんな人が赤ちゃん犬をさわります。母犬は人間が大好きなので、赤ちゃんをさわられても怒ることはありません。このようにいろんな人間がさわることで赤ちゃんの時から、人間の匂いを覚え、人間にさわられると安心し、喜ぶようになるのです。母犬や兄弟犬とも生後60日までは一緒に生活し、犬同士のマナーや社会性を学びます。
この時期に、適性のありそうな子犬を選びます。

パピーウォーカー

生後60日後、パピーウォーカーと呼ばれる飼育委託ボランティアに約1年間お預けします。犬は1歳になると人間の年齢で約17歳くらいまで成長するといわれていますので、パピーウォーカーの下で育つ1年間は、子犬にとって貴重なかけがえのない経験が出来る大切な期間です。
人を好きになってもらうことはもちろんのこと、家庭での生活環境に慣れてもらったり、人と一緒に暮らすために必要なマナーをみにつけます。

適性評価

生後1歳~1歳2ヶ月でパピーウォーカーを離れドッグセラピージャパンに訓練犬として入所すると、まずその訓練犬がどのような性格かを見極めるために適性評価を行います。
何が好きか、苦手なものは何か、歩行中の様子、犬同士の反応、音・見慣れない物、人への反応を見ることで、その後どのように訓練を進めていくかを判断します。

基礎訓練

パピーウォーカーのもとで育った訓練犬たちは、人間と遊ぶことが大好きです。
その基礎があるからこそ、訓練士はボールやおもちゃを使って訓練犬と一緒に遊びながら訓練を進めていくことが出来ます。
Sit(座れ) Down(伏せ)などの指示に従うことが楽しいと思えるように訓練をしていくと同時に、従わなければならないことを学んでいきます。

遺伝性疾患の診断

生後1歳6ヶ月頃、犬の身体的な成長がほとんど止まるこの時期に、セラピードッグとして活躍する上で問題がないか健康診断を行います。犬種によってなりやすい病気が異なりますので、遺伝性疾患を持っていないかどうかの確認をします。仮に疾患があったとしても、普通に生活する上では問題はありませんので、その場合はキャリアチェンジ(進路変更)をしたり、犬舎等でのんびりした生活を過ごすことになります。

動作訓練

セラピードッグが行う訓練は、ルールのある遊びのようなものです。
訓練犬は遊びの中でセラピー犬としてルールやマナーを覚えていきます。
抱かれることが多いセラピー犬は、おもちゃのロープを引っ張り合う遊びも、遊びながら腰を強くしたり最初は訓練士が犬を誘導して成功を何度も何度も繰り返し、犬に「こうすれば褒めてもらえる!」「もっと遊んで欲しい!」と思ってもらえるように訓練を進めていきます。
ある程度理解が進んだ時点で段階的に誘導をなくしていくことで、成功の繰り返しと褒めてもらえない経験をすることで、どうすれば褒めてもらえるかを犬が考えて行動をするようになります。

キャリアチェンジ

訓練を始めた犬の中でも、セラピードッグに向いている犬は10頭中5頭程度です。
適性評価、健康診断、訓練状況等をもとに、セラピードッグに向いていないと判断された犬たちは、セラピードッグにはならずにキャリアチェンジ(進路変更)をします。
キャリアチェンジした犬のほとんどは、キャリアチェンジ犬里親ボランティアに譲渡し、家庭犬としての犬生を歩んでいくことになります。
中にはセラピードッグのPR犬として啓発活動を支えるキャリアチェンジ犬もいます。
家庭犬に向いている犬であれば、苦手な環境を避けて家庭で過ごすことがその犬にとって幸せでしょうし、たくさんの人たちに囲まれ・見てもらって、触ってもらうことが好きな犬であれば、PR犬が天職でしょう。
私たちにできることは、その犬の向き不向きを判断し責任をもってしっかりと進路を見極め、どの道を進むことになっても幸せな犬生を送ってもらうことです。

>>キャリアチェンジ犬里親ボランティアに興味がある方

セラピードッグとして

セラピードッグとして、カフェ(かたのだ)や施設訪問の生活がはじまります。
訓練中にカフェ(かたのだ)や施設訪問で過ごしているので、介助犬として活躍する頃にはもうすっかりその環境には慣れています。セラピードッグの育成はこれで終わり!ではありません。
訓練士が定期的にセラピードッグに変化が無いかチェックしたり、獣医に健康チェックをしてもらったり、ワクチンやノミ・ダニの薬を処方してもらったり、フィラリアの注射を打ってもらうなど体調や生活に変化が無いかを確認し、必要であれば再訓練・再指導・再検査を行います。
セラピードッグはロボットではありません。時には上手くいかなくなったり、体調を崩すこともありますので、このアフターフォローが活躍し続けるためにはとても大切なことなのです。

引退とその後

10歳を過ぎた頃セラピー犬は引退します。
引退したからといってヨボヨボという訳ではなく、まだまだ元気!
元気なうちに引退犬ボランティアのもとで余生を送ります。
引退犬ボランティアは、一般の家庭のほか、子犬の頃育ててもらった元パピー・ファミリーの家庭で余生を送る場合もあります。セラピー犬は、仕事をする犬というよりも、人間にさわってもらうことで喜びや快感を感じる犬なので、引退犬ボランティアは、子どものいる家族よりものんびりと過ごされているお年寄りの方が向いていると思います。一般的に小型犬の寿命は、15歳から17歳ほどですが、セラピー犬として登録されている引退したセラピー犬たちの寿命も同じほどで変わりません。


キャリアチェンジ犬・引退犬里親ボランティアに興味がある方

セラピー犬は、ブリーダー、パピーウォーカー、訓練士、キャリアチェンジ犬の里親、引退犬の里親、その他のボランティア、多くの方々の愛のバトンで引き継がれていきます。 たくさんの人たちの愛情がセラピードッグを育てています。
セラピードッグは、お年寄りや心や体に病気や障がいのある方に対するアプローチはもちろんのこと、近年増加しつづけている、幼児虐待をはじめとする暴力行為・鬱・自殺などでつらい状況にある方に対して「愛する心」 「いつくしむ心」「相手を思いやる心」をはぐくみ癒す効果が期待されており、セラピードッグの存在意義は、今の日本には大きくなっています。

(キャリアチェンジ犬について)
セラピー犬の訓練を行う過程で、様々な理由からセラピー犬としては向いていないと判断された犬をキャリアチェンジ犬といいます。 キャリアチェンジ犬の中から、家庭犬として飼育してもらうことが最適であると判断された犬たちは、キャリアチェンジ犬里親ボランティアさんに譲渡しています。

(引退犬について)
セラピー犬を引退した犬が、十分な愛情と管理の下で余生を過ごせるよう、引退犬と生活して下さるボランティアさんも募集しております。

キャリアチェンジ犬里親ボランティアさん、引退犬里親ボランティアさんは登録制となっております。
ご興味をお持ちの方にはキャリアチェンジ犬・引退犬譲渡に関する資料やアンケート用紙(飼育環境調査書)をお送りしています。
キャリアチェンジ犬や引退犬は常時待機しているわけではありません。
譲渡までに数ヶ月から数年待って頂くことがありますが、ご了承ください。
詳しくは、お電話かメールにてお問い合わせください。

里親ボランティアさんとの生活の様子

キャリアチェンジ犬・引退犬たちは、里親ボランティアさんのもとで家族の一員となって暮らしています。


セラピードッグ育成を応援する方法は?

2006年から本格的なブリーディングを行ってきた理事長の野田 玖仁子は、単に同犬種のオスとメスを交配させて犬の数を増やすことをせず、健康で性格の良い犬種を目指し計画的交配を行ってきました。
その犬種の理想に近づけるため、常に考え次世代により優れた犬を誕生させようと計画繁殖を行ってきました。 その知識と経験からセラピードッグの交配から出産、産後ケアを行い、赤ちゃん犬の時からセラピードッグ育成にも力をいれています。
このようなセラピードッグ育成をささえているのは、みなさまからの募金や寄付によるものです。みなさまからのサポートが増えると、セラピードッグの育成が継続でき、笑顔になるお年寄りや子どもが、また一人生まれます。

犬と人とが暮らしやすい社会

人間が大好きで、犬同士の仲が良い犬は、子いぬが生まれてから育つ環境が大きく影響しています。
赤ちゃん犬の時期から60日位まで母犬や兄弟犬とずっと一緒に過ごすと、よほどでない限り犬嫌いな犬にはなりません。また、その時期に愛情もって人間がお世話をすると、人間が大好きな犬になります。性格がよく健康で人なつっこい犬は誰からも可愛いと言われ、犬はお腹を見せて抱っこをされるようになります。そんなセラピー犬を育成し、たくさんの人とセラピー犬がふれ合ってもらうために、共に笑顔を伝える仲間になってください。「寄付」という投資で意思を示しませんか?


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