犬の飼育で得られる効果

犬の飼育で得られる効果は多様ですが、特に目立つものは次のとおりです。

  1. 接触で五感を育てる……受性を豊かにする
  2. いのちの大切さを学ばせる……死の実感・悲しみ・生命尊重・死の準備教育
  3. 愛する個々との育成をはかる……情愛教育・人の土台づくり・感受性を養う
  4. 人を思いやる心を養う……共感・協力・責任感・労働の意味と喜びを知る
  5. 動物への興味を養う……知識欲の刺激・観察力・洞察力・生物理解・科学への入り口
  6. 生きる力を養うハプニングへの対応・工夫。判断力・決断力・冷静な視点
  7. 育児疑似体験……小さく頼りないのに自我がある・育てる喜び
  8. 緊張を緩める……癒し・人間関係改善・男女間コミュニケーション訓練
  9. 動物への接し方に子どもの心が表れる…動物をいじめる子はストレスなどを抱えている。

以上の動物の意義のうち①~⑦は、動物を可愛いと思いながら長く付き合って初めて得られる効果です。自分に係りのない動物が、校舎から離れた小屋の中でいくら息絶えても、だれも悲しむことはなく、その死が「命の大事さ」を気づかせることはありません。
しかし毎日世話をするうちに動物になつかれて、情が湧いて可愛くなれば、その言葉をもたない動物が何を喜ぶかを一生懸命考えて付き合うようになり、死なれたら悲しいし、悔しく、死を惜しむことができます。
また、目やしぐさを見つめたりスキンシップをしたりして動物の気持ちを推し量る訓練が、人との付き合いでも相手の気持ちを思いやる力を養います。

子どもたちは、世話は面倒でも動物の気持ちが分かるからほっておけなくなり、それで汚れた仕事も嫌がらずに片付ける積極性や責任感を養い、労働の喜びを知ることになります。つまり子どもが動物と情を通わせて初めて、飼育体験がさまざまな世界と教育的効果を伝えるのです。これは移動動物園などの単発的なふれあい教室では到底作れない環境といえます。

⑧は、哺乳類や鳥類の動物が本来持っている特徴です。

⑨は、動物が子どもの心の内面の指標になるという意味です。

子どもが動物に辛く当たる場合

子どもが感情を見て取れる種類の動物に辛く当たる場合は、
“a”その子の動物への感情が未熟、
“b”その子自身が虐待などのストレスを受けている。
“c”脳の発達障害がある、
などのいずれかであるとの考えがあります。
幼児期には動物を強くつかみ振り回すことも多々ありますが、これは通過儀礼であり、多くはすぐに手加減を覚え動物を可愛がり庇(かば)うようになります。
しかし言い聞かせても繰り返し弱い動物に辛く当たる時は、“b”や“c”かもしれません。特に“c”の場合、「行為障害」の症状の一つに「6ヶ月以内に動物虐待を繰り返す」ことがあります。
そのような病気の場合、なるべく早期にあらゆる角度からこの病気の兆しを発見してケアする必要がありますが、子どもの身近な動物は分かりやすい重要な指標の一つです。
小さな子がこのような行為を何度も繰り返すときは、すぐに親御さんと話し合うほうが良いでしょう。



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